ドイツでバスの乗車マナーについて考える
混みあった朝の通勤バス。空いた席に荷物を置いて涼しい顔をしている人がいたらムッとしますよね。私はします。もしくは二つ並んだ座席の場合、窓際の座席をあけたままで通路側に座っている人がいたら、「詰めて座れば他の人が座りやすいのに」と思いますよね。私は思います。
ドイツのバスではこういったことをするお客さんがすごく、すごく多いです。
ドイツに来てすぐのころは、ドイツ人は乗車マナーがなってない!!と心の中でプリプリ怒っていました。ここは田舎だから乗車マナーなんてことを考えないんだろうかと思ったこともあります。実際、大都市では違うのかもしれませんが、バスだけではなく電車であっても、まるで隣の席も自分の座席のように使う人が多いのです。下手をすれば向かい合っているコンパートメント席4席を独り占めなんていうことも。
しかし、最近になって思うことがあります。それは、ドイツ人にとってこれは乗車「マナー」ではなく、乗車「習慣」に過ぎないのではないかということ。
マナーは良し悪しがあり、マナーを守らないということは他人に敬意を払わないことであり、社会生活に適応できていないことを意味します。しかし、習慣は「どう行動するか」ということであり、そこに良し悪しの判断は入ってきません。
日本では混んでいる交通機関の中で空いている席に自分の荷物を置くという行為は明らかにマナー違反。本来ならそこに座れるはずの人が座れないということになってしまいます。
しかし、ドイツでは誰かの隣に座るときには、そこに荷物があろうとなかろうと「そこ空いていますか」「座っていいですか」と一声かけることがマナーであって、荷物を空いている席に置くことそのものはマナー違反だとはとらえられていない気がします。実際一声かければ快く荷物をどけてもらえることがほとんどですし、おそらく荷物を置いている人たちも「必要なら声をかけてくるだろう」という前提があるのだと思います。
マナー違反だと思っていた時にはイライラしていたドイツ人の行動も、単なる習慣だと思えばあまり腹が立たなくなりました。それと同時に、今までは空いている席であれば何も言わずに座っていたところを、隣の人に一声かけてから座ることを心掛けるようになりました。マナー違反だったのは私のほうだったのか、とちょっと反省しつつ。